逢魔が源内

逢魔ヶ源内
菊地 秀行

角川書店
2004-07-31
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 菊地氏としては珍しい形式で書かれた小説でした。
 いつもは巻末にまとめて一度だけ(まれに扉などにも書いてあることがありますが)、書かれていた「あとがき」が、本書では各章の冒頭に、それもけっこうな分量、掲載されているのです。その内容は担当編集者とのやり取りなんですが、面白いのはそれと本編が、ほとんどシームレスになっているといること。どこまでが小説の一部で、どこからが現実のやり取りかがわかりづらいのですが、もちろんこれは著者の意図したものでしょう。これが小説全体の雰囲気作りにも役立っていて、源内の妖しさや、摩訶不思議さを盛り上げているようにも感じられました。
 できれば本書のような中短編ではなく、長編で読んでみたいですね。