死国

4041932025死国
坂東 真砂子

角川書店 1996-08
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 ホラーシーズン真っ只中にふさわしく、和製ホラーの一冊です。
 本書は映画にもなったので、ご存知の方も多いでしょうが、四国のとある田舎町を中心に繰り広げられる怪異を扱っているのですが、その背後に土着の古い風習や伝承を織り交ぜているのが特徴でしょう。
 そう、実はこのバックグラウンドの扱いが問題。わたしは正直、読み終わった後に「じゃあ、あの大風呂敷はいったい?」という疑問が残ってしまいました。バックグラウンドでは四国全体を扱っているのに、話はその田舎町だけ(厳密には違うけど)で完結しており、かなり違和感を感じてしまいました。
 またこの手の単発の小説ではしかたのない部分もあるんですが、前半の状況説明が長すぎるようにも思います。ここを読んでいるのはちょっと苦痛でしたね。
 ただラスト、続けざまに起こる怪異の場面は、なかなか面白くテンポよく読めました。
 全体に少々バランスが悪く感じる一冊だったかもしれません。