スカイ・クロラ 劇場版

 押井監督最新作、本日大阪で見てきました。入りはほぼ満席、かな?
 原作があろうがなかろうが、結構独自の世界を作ってきた押井監督ですが、今回はかなり原作に沿った内容だったのではないかと思います。今、原作の文庫がどっかいって行方不明なんで確認できないんですが、大筋でほぼそのままだったと思います。もちろん、尺の関係でいくつかエピソード飛ばしてる部分はありましたが。それとストーリーをユーイチとスイトの関係に絞り込んだので、それに伴って変わった部分もあったかも。ラストがなんか、原作とは逆な気がするんですが、確認したくても本がない〜(^^;
 この映画はかなり各方面から期待されているらしく、事前に押井作品では異例なほどメディアに出ています。その中でNHKの特集を見たのですが、そこで監督は「若い人に見てもらって、人生そんなに捨てたもんじゃないよと言ってやりたい」みたいな趣旨のことを話してらっしゃったと思います。劇中に登場する『キルドレ(思春期のままの姿で生き続ける人)』を、先の見えない今の若い人たちに例えてそういうメッセージをこめたようなのですが、わたしの理解力が足りないのか、どこをどうとれば、そんな前向きなメッセージになるのか、ちょっとわかりませんでした。
 それにこれは見る前から予想していたのですが、前編を通して地味なんですよね。派手なアクションシーンがあるわけでも、はらはらするようなサスペンスが展開するわけでもなく、また美少女が出てくることも、かっこいいヒーローやメカが出てくることもない。出てくるのはせいぜい第二次世界大戦時を髣髴とさせるような、よく言えばリアルな、悪く言えば地味な戦闘機や爆撃機が出てくるくらい。
 カタルシスがない。押井作品らしさは出ているとは思うけど、一般の人々はそんなものはおそらく理解できない。せいぜいやたらバセットハウンドが出てくるなあ、くらいでしょう。これじゃあ興行成績が振るわないというのも理解できるというものです。
 最後に、これ、原作の森博嗣ファンから見たらどうなのかなあ? というか、森氏自身はどう思ってらっしゃるんだろう?