くやしいなあ

 以前恋愛小説というか青春小説に挑戦したんですが、ものの見事に返り討ちにあいました。書いてるときから気は付いていたんですけど、やっぱり全般に年寄りくさい。出てくるキャラクターが青春を謳歌しているような年代に見えない。
 何でなんだろう。何が違うんだろうと悩んでました。
 ひとつにはわたしの年齢から来るものがあるでしょう。わたしももう30代後半に入っています。世間一般より精神年齢は若いつもりですが、それでも学生時代や中学高校生のときの感覚なんて覚えているとは言い難い。
 何事もそうなんだけど、実体験に勝る勉強はない。それを文章に書けるかどうかは別にして、経験したことと書籍やネットで聞きかじっただけの頭でっかちとは、そこから生まれ出るものの説得力に雲泥の差がつく。
 もう、わたしに青春小説のような、みずみずしいストーリーは紡げないんだろうか。
 くやしいなあ。
 こないだ実家に帰ったときに、文庫本を何冊かもって帰ってきた。その中に「妖精作戦」全4巻も含まれている。わたしがおそらく中学時代に出会った、ある意味、その後の人生に少なからぬ影響を与えた本。保護カバーをかけてはあるものの、紙は変色し、時間の流れを感じさせる。
 でも、ページをめくれば、そこにはあの時心躍らせたキャラクターたちが今でも生き生きと駆け回っている。時代が変わったせいでところどころ古い描写もあるけれど(貸しレコード屋とかバイクノーヘルとか)、それでも登場人物は、ストーリーは色褪せていない。彼らは確実に青春を謳歌し、淡い恋心に戸惑っている。
 くやしいなあ。
 いつかわたしも彼らに追いつけるのだろうか。まずはこの4冊を呼んで、よく考えるところからはじめよう。