装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ<a class="okeyword" href="g:book:keyword:小説">小説</a>版

装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ小説版装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ小説版

ホビージャパン 2009-01-17
売り上げランキング : 150605
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 同名のOVAシリーズ、および劇場版のノベライズなのですが、そもそもこの本の著者御自身が同作のシリーズ構成を担当されているので、この小説の位置付けは原作に近いかも。
 そもそもはわたしが唯一定期購読しているホビージャパンでOVAの告知があったのが見始める結果だったのですが、実はわたし、きちんとボトムズを見たことがないんですよね。TVシリーズ放送当時は視聴可能エリアに住んでいませんでしたし、まだインターネットはもちろん、ビデオすら家にはありませんでしたからアニメ誌や模型誌で情報を得る程度でした。その後、OVAがリリースされましたがご存知のとおりこのOVAはTVシリーズの後だったり前だったりと予備知識なしで見ると結構混乱する設定だし、特にOVAではクライマックスでスコープドックとスコープドックが戦ったりして、絵的にもわかりづらいものでした。
 そんな感じですっかりボトムズの波には乗り損なっていたんですが、そこはやっぱりメカマニアの血で、目の前にあると見たいじゃないですか。
 物語はTVの前のキリコとペールゼンを平行して描いていきます。キリコは過酷という言葉さえ生ぬるいような作戦に従事させつづけられ、それでも生き残っていく。ペールゼンは情報省のウォッカムにキリコらの正体を迫られるがなかなか核心を口にしない。そしてラスト、空前の規模の大作戦が敢行され、その中心にキリコらの分隊がいた。
 正直なところ、この「ボトムズ」という物語にはどうにも弱い点がある。物語を支える小道具の一つであるAT、アーマードトルーパーの設定だ。物語の中でこの人型兵器はちょくちょく消耗品扱いをされる。構造が単純だったり、パーツの入手が楽だったり。しかしその一方でこの本の中では超高温の液体の中を耐えてみせたり、逆にマイナス60度の極寒の中で戦闘してみせたり、またTVシリーズでは機動バーニアをつけただけで宇宙空間で戦ったりもしている。要ははっきりしないのだ。このことは著者ご本人も理解されているらしく、あとがきの中で「AT同士の通話の方法もわからない」と書かれている。まあ、この話はそれでいいのかもしれない。ガンダムなどはMSそれ自体がキャラクター性を持ち、時にパイロットの写し身的に表現されるのに対し、ボトムズではATはあくまでATという兵器のひとつであり、物語の小道具の域を出ることはない。小道具は小道具としての表現ができれば、あとの細かい部分はどうでもいいのでしょう。
 この手の小説としては特筆に価するほど男臭い物語ですが、それにふさわしい殺伐とした世界が待っています。ラストのほんの一瞬だけ違いますけどね(^^