密林は林檎畑と変わるのか?

 アップルが「iPad」を発表しました。わたしは当初、これはMacOSの走るタブレットPCだと思っていたのでほとんどノーチェックだったのですが、Twitterのタイムラインを見ているとどうもそうではないように感じ、ざっと調べると、どうやら電子書籍らしいと知りました。
 さて、この電子書籍ですがアップルに先んじてamazonがKindleという端末を発表しています。このKindleと今回のiPadについてはengadgetの日本語版のこの記事で取り上げられていますので、そちらを参考にしていただければいいかと思います。
 ただ個人的にこの比較は微妙な気がしてはいます。というのも、iPadKindleでは目指している方向が違うのではないかと思うのです。そもそもiPadiPhone OSを搭載しており、ディスプレイもカラーの液晶を採用するなどよりPCに近い作りになっているのに対し、Kindleはモノクロで発光しないE Inkを採用し、カラーはもちろん、動画にも対応していません。これはamazonがKindleを個人の手元にあるamazonという位置づけであることからもわかるように、既存の紙の本を置き換える媒体としていると考えられるからです。
 またamazonはKindleソフトウェアを積極的に他の端末(PCやiPhoneなど)に対応させていることからも、amazon側はiPadを必ずしも自らの市場を脅かす存在と見ていないのではないでしょうか。同じことはアップルにも言えます。先程も触れたようにiPadにはiPhone OSが搭載され、おそらくほとんどのiPhoneのソフトが利用出来るのではないかと予想されます。これからiPhoneのヘビーユーザーやビジネスシーンでの活用などがイメージできますので、これらは住み分けていくのではないかと思うのです。
 問題はこういった電子書籍端末が日本で普及するかどうかという点なのですが、あくまでわたし個人の意見ですが、今のままでは難しいのではないでしょうか。というのもすでに電子書籍は携帯電話やiPhoneで読まれることが一般的になっており、新たに数万円もの投資をしてまで読みたいコンテンツが出てこない限りはこの構図は変わらないのではないか、というのがわたしの描いた予想です。
 はたして……?