犯人に告ぐ

犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)
雫井 脩介

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犯人に告ぐ 下 (2) (双葉文庫 し 29-2)犯人に告ぐ 下 (2) (双葉文庫 し 29-2)
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 実家に帰った際に、親から「面白かった」といわれたので、借りた本です。書店などで面だしで並んでいるのは見ていたんで、興味もありましたし。
 読後の感想としては、非常に面白い本でした。あまりサスペンスを読まないわたしでもぐいぐいと引き込まれる、力を持った小説です。
 それはていねいな描写にあるのではと思います。若干視点がばらつく傾向がありますが、風景や小物、その場の雰囲気といったような、ともすれば軽視しがちな部分にまで神経をくばって書かれているため、読者はいやおうなく臨場感ある「世界」に立ち会っているような感覚にとらわれる。そんな気がしました。
 ただ、個人的にどうにも気になるのは、ラスト、どうして主人公をヒーローにしなかったんだという点です。ネタばれになるので詳しくは書きませんが(気になる方は買ってください(^^)、冒頭の伏線の解消だとしても、あそこまで突き放す必要はない気がするんです。あと、身内の警察内部で足を引っ張る人物が二人出てくるんですが、これも一人に絞り込んだほうがすっきりすると思うんですよね。読んでいて、ちょっと雑音のように感じました。
 しかし下巻なんかは一気に読んでしまいましたし、魅力的な小説であることは保証します。映画化もされましたし、一読するのもいいんじゃないでしょうか。